宮林妃奈子 「うみの背なか」
Hinako Miyabayashi -back of the sea-
会期: 2024 年 11 月 1 日 (金) – 12 月 1 日 (日)
開館時間:10:00 – 17:00
*初日11/1 のみ13 時から開館いたします。
*展覧会は宿泊以外の方もご覧いただけます。
協力:Gallery 38
板室温泉大黒屋では、2024年11月1日から12月1日まで宮林妃奈子の個展「うみの背なか」を開催いたします。北海道出身の宮林は幼少の頃から絵画教室に通い絵を描くことが常に生活の一部でした。絵を通じて感性を育み独自の世界観を形成する中で、自然と絵画への情熱を深めていきます。その後、多摩美術大学を卒業し、東京藝術大学大学院に進学。さらにベルリン芸術大学でも学び、2023年にマイスターシューラーを取得しました。現在も東京藝術大学大学院絵画科に所属し、国内外での経験を通じて表現を深化させています。
宮林の作品は、オイルペインティングを中心に、コラージュやさまざまな描画素材を用いて独自の視覚世界を展開しています。彼女は自身の絵画を「レイヤーではなく粒の重なり」として描くアプローチを取り、粒が積み重なる意識で作品に深みとリズムを生み出しています。この粒子は単なる構成要素ではなく、時間と空間を同時に刻むもので、彼女の絵画が固定的なものではなく、常に動的で生きた空間を感じさせる要素となっています。高い抽象性を持ちながらも、純粋な抽象絵画にとどまらず、その根底には確かなリアリズムが流れています。また、常に「風を描く」という意識を持ちながら制作に臨み、自然の微妙な変化や目に見えない力を描き出そうとしています。かつて宮林は「雪が降る様子が、見えない遠くまで層のように広がり、自分の描きたい空間と似ている」と語っており、こうした自然界の現象を多面的に捉え、時間や空間を超えて表現することが創作の核となっています。幼い頃から親しんできた自然や風景を「絵」として描き取る感性と深く結びついているのです。
彼女の制作では、画面にさまざまな布や和紙を貼り、支持体を重層化させる手法を取り入れることがあり、偶然性や視覚のズレを重要な要素としています。それが作品に独特の緊張感と柔らかさを生み出し、単なるレイヤーとして積み重なるのではなく、異なる時間や動きの中で存在しているように描かれ、画面全体に絶え間ない流動感とリズムをもたらしています。また、支持体にもこだわりを持ち、既成の白いキャンバスではなく、膠や天然素材を使って自ら下地を作成しています。生成りの麻や木製パネル、ジュートなど、素材の質感や肌理にも細心の注意を払っており、支持体自体が作品の一部として強い存在感を放ちます。こうした素材の選定や使用は、表現と素材の関係性を重視し、外部からの影響を受け入れながら新たな視覚体験を作り出す独自のアプローチです。本展では、主に宮林が2024年に制作した新作約20点を展示いたします。具体的かつ詩的なタイトルと抽象的な表現が絶妙に交差し、画面に流れるリズムが鑑賞者に豊かな感覚体験を提供します。それぞれの作品は、鑑賞者が自由に解釈し、個々の経験を投影できる余白も残されており、時間を超えた深い思索の余地を感じさせます。大黒屋では初めての個展となります。展覧会「うみの背なか」にて、宮林妃奈子が描き出す世界観を晩秋の板室温泉にてご高覧いただけたら幸いです。
宮林 妃奈子(Hinako Miyabayashi)
1997年 北海道生まれ
2019年 ベルリン芸術大学美術学部 交換留学(マルク・ランメルトに師事)
2021年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業
2023年 ベルリン芸術大学美術学部マイスターシューラー課程 修了(ティーロ・ハインツマンに師事)
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻 在籍
個展
2024年 「土に隠れた文字のしっぽ」(Gallery 38、東京)
2024年 「project N 93 宮林妃奈子」(東京オペラシティアートギャラリー、東京)
2023年 「Hinako Miyabayashi」(Galerie Bernd Kugler、インスブルック、オーストリア)
2022年 「宮林妃奈子展」(新宿高島屋、東京)
菅 木志雄 倉庫美術館
アーティスト菅木志雄の作品のみを常時展示している美術館です。
スタッフが庭の作品などもあわせて毎日案内しています。
- 現代アートと大黒屋
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なぜアートなのか
それは アートの持つエネルギーが我々の持つ美意識に働きかけてくれるからです
日常忘れかけている心の美に気づきそれに触れるとき・・・
我々は本当の自分に出会えるのではないでしょうか
浴衣姿になってアートに触れる・・・ 美術館では味わえない開放感と
一筋の緊張感・・・ そこにこそ 本来の心地よさがあるように思います
板室の自然とアートが調和する空間で心身ともにリフレッシュしていただきたい
それが大黒屋の願いです