季節の刻

八木 良太 展 「生成夢 -generative dreams-」

板室温泉大黒屋では2024年8月2日より8月26日まで八木良太 展「生成夢-generative dreams-」を開催いたします。音と映像、インスタレーションを融合させた作品を展示いたします。八木良太は1980年愛媛県生まれ。京都造形芸術大学芸術学部空間演出デザイン学科を卒業し、現在も京都を拠点に活動を続けるアーティストです。彼の作品は、「見たいものだけを見る」「聞きたいことだけを聞く」という人間の制限的な知覚システムや態度に対する批判的思考を基盤にしています。身近な素材を用いた音響、映像、インスタレーション作品など、幅広い領域で創作活動を行っています。
大黒屋で初めての個展となる本展「生成夢 -generative dreams-」では、音響彫刻、立体、映像、写真などと新旧作品を組み合わせ全18点を展示。宿の玄関前に設置されている「水琴窟」の実際の水滴の音をリアルタイムで拾いスピーカーユニットを積み上げた作品「Stupa」に繋げた作品は水の音が空間全体に広がり、音響的な彫刻として鑑賞者を包み込みます。そして展示空間となるサロンの前にある庭の梅の木にスピーカーを設置した作品「小鳥たちのために」は自然と調和した擬似的な音響インスタレーションです。あわよくば小鳥たちのさえずりがスピーカーから流れ、自然と人工の音が交差するかのような錯覚を。また旅館に宿泊したお客様に、宿泊時に見た夢のストーリーを記述していただき、生成AIによってその夢のイメージ(画像)を出力する作品「Generated dreams」では夢の世界が視覚化され、個々の内なる体験が共有されます。
彼の作品は、日常の中に潜む美や複雑さを新たな視点で捉え直し、観客に新しい感覚の体験を提供します。大黒屋という宿泊施設の場の特性も活かした展示構成になっていますので、この機会にぜひご高覧いただけたら幸いです。

八木 良太 Lyota Yagi
1980  愛媛県生まれ 京都府在住
2003 京都造形芸術大学 芸術学部 空間演出デザイン学科 卒業
2009 大阪大学 ウェブデザインユニット 特任研究員
2012 京都市立芸術大学大学院 美術研究科博士(後期)過程彫刻専攻 単位取得満期退学
京都芸術大学 芸術学部 空間演出デザイン学科 准教授