季節の刻
磯谷 博史 展
板室温泉大黒屋は、11月1日(金)から11月29日(金)まで、磯谷博史による個展「物音」を開催いたします。
磯谷は身のまわりで出会う事物をきっかけに、私たちが持つ出来事への認識や時間の捉え方について思考しています。本展示では新作を含む写真作品を中心に、被写体に付随していたであろう「音」を意識し、展示構成を決めていきました。
棚の上にある写真「事のもつれ」は、まさにその棚から額が落下する様子が撮影され、私たちの時間感覚にひとつの違和感を投げかける作品です。一方、セピア色のモノトーン作品は、カラーで撮影された写真から色彩を奪い、かつてその画像の中にあった特徴的な色を額に着彩するシリーズ。一枚の画像を形と色に振り分けることによって、写真が捉える「過去」と、着彩された物としての額の「現在」を関連づけます。展示タイトル「物音」について作家は「被写体にかつてあった音を想像すると、静止した画像から出来事や物の振る舞いへと意識が広がる。作品は出来事で、プロセスであることが強調される。」と話しています。写真には撮影しきれなかった固有の「音」があり、そこにあった「音」が隠されていると捉えることもできるでしょう。
11月26日(火)には音楽家の蓮沼執太による本展「物音」に関連するパフォーマンスを行います。是非この機会にご高覧いただければ幸いです。